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夏休みはここをマスター!文語文法の基礎 その②
ご好評をいただいております<文語文法の基礎>第2回は「動詞の活用の基本」です。
高校に入って、最初の学期が終わりましたね。国語では、特に古文の「文語文法」に、戸惑い、あるいは苦しんで暗記した方が多いでしょう。
大半の高校で、一学期の文法の内容は、「9種類の動詞の活用」、「形容詞・形容動詞の活用」あたりまでだったと思います。今日は特に、「動詞の活用」についてお話しします。
「大半の高校」と言いましたが、その中で、あるいは範囲の違う学校も含めて、やはり多くの方が、次のように「活用の仕方」を「暗記」したかと思われます。
・四段活用「書く」の場合 か-き-く-く-け-け
・上一段活用「見る」の場合 み-み-みる-みる-みれ-みよ
結論から先に言います。このような「暗記」で一学期を終えた人は、この夏休みに、活用の仕方を次のような「暗誦」におきかえる勉強をして下さい。
・「書く」 か・か-ず か・き-たり か・く か・く-とき か・け-ども か・け!
・「見る」 み-ず み-たり み・る み・る-とき み・れ-ども み・よ!
「か-き-く-く-け-け」式の「暗記」は、一番初めの文語の活用の覚え方として、あってもまあいいのですが、これから先、助動詞や助詞が連続して組み合わさった、実際の文中での品詞分解、用法の判断、そして現代語訳といった局面では、ほとんど役に立ちません。例を挙げてご説明しましょう。下の文中に五つある動詞の、活用の種類と活用形を答えて下さい。
鞠を蹴ずして空(くう)を蹴ぬ。蹴れども飽かねば涙ぞ落つる。
答えを先に言いましょう。順に、カ行下一段動詞「蹴る」の未然形「蹴(け)」、カ行下一段動詞「蹴る」の連用形「蹴(け)」、カ行下一段動詞「蹴る」の已然形「蹴れ」、カ行四段動詞「飽く」の未然形「飽か」、タ行上二段動詞「落つ」の連体形「落つる」です。
下一段動詞は一期だけの「蹴る」だと覚えていれば、活用については正解できますね。「飽く」についても、「ア段(か)」に活用しているから四段活用、という判断方法はあります。「落つる」も係り結びをきちんと覚えていれば、大丈夫ですか?「ち-ち-つ-つる-つれ-ちよ」から、自信を持ってタ行上二段動詞「落つ」と決定するのは、ややむずかしいかも?「ア段(か)」に活用しているから四段活用、にしても、ナ変の二語、ラ変の四語を、無視することはできません(「飽く」はカ行だから関係ないよ、と言える人は、どうぞ次に進んで下さい)。下一段動詞「蹴る」を覚えてなかったら、「蹴ぬ」の連用形は、絶望でしょうか。
さらに、「蹴れども飽かねば」の品詞分解と文法的説明は、こうなります。
蹴 れ - ど も - 飽 か - ね - ば
カ行下一段「蹴る」已然 逆説の接続助詞 カ行四段「飽く」未然 打消助動「ず」已然 順接の接続助詞(已
然+「ば」で確定条件→もっと詳しく言うと原因・理由。これは高2、高3でOK)
助動詞の説明は改めますが、例文よりもっと複雑に、動詞の活用と助動詞の接続から、同じ表記の助動詞(または助詞、たとえば「ね」「なむ」等々)の種類と用法を判断しなければ、現代語訳はおろか文の大意さえつかめないことが、よくあります(もっとはっきり言えば、その連続が古文なのです)。
そうしたことに対応する入り口が、「み-ず み-たり み・る み・る-とき み・れ-ども み・よ」という、「動詞の活用の暗誦」なのです。
2年生、3年生になって、この「活用の暗誦」ができない、あるいは軽視している人は、やはり文法でも、文意をつかむ上でも、「しなくても良い」間違いや苦労をしています。このやり方を身につけることで、古文はらくに「得意科目」となり得ます。
1、2年生はもちろん、3年生でもまだ遅くはありません。夏休みの間にこの方法をしっかり身につけて、古文の第二関門をしっかり突破しましょう。
☆「夏休みにおける中3生の数学のポイント」は、下記リンクをご覧下さい。
http://mbp-tokyo.com/kotogaku/column/32016/