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原爆忌
前回、「俳句の季語は必ず『歳時記』で確認しましょう」の記事の中で、「原爆忌」が秋の季語であることをお伝えしました。が、そもそもの「原爆忌」について知らない方もあると思いますので、少しそのことを、お話ししようと思います。
1945年(昭和20年)、日本の国は敗戦間近でしたが、6日に広島、9日には長崎に、アメリカ軍によって人類史上初の核兵器である原子爆弾=原爆が、投下されました。爆心に近い地域では一瞬のうちに何万人もの人々が焼かれ、たたきつけられ、家屋の下敷きになって即死し、生き残った人々も恐ろしい放射能の影響で亡くなりました。広島では昨年の8月6日までに、原爆のために亡くなった方の数が、280,959人にも及んでいます。
この2度の悲しい日を忘れないようにと語られる日が「原爆忌」です。日本は核兵器による攻撃を受けた唯一の被爆国として、亡くなられた方々と、人類の未来のために、大きな使命を有しているのです。
原爆忌市電無数の手を吊りて 今井 勲
角川文庫版『新版 俳句歳時記 秋の部』より引きました。原爆の惨禍に見舞われた日、広島市内を走る市電も焼かれ、その中で亡くなった方もたくさんおられたそうです。引用した句はおそらく、戦後復興を成し遂げた平和な広島の市内を走る市電の乗客が吊り革をにぎる「無数の手」から、亡くなられた方々の「無数の叫び、苦しみ」を想起して、鎮魂と平和への願いを込めた句なのだと読み取れます。
明日8月6日は、朝8時から広島の平和公園での式典の様子が放映されます(NHK)。広島市長が日本国民と世界に向けてどのようなメッセージを発信するか、毎年注目しています。どうかみなさんもその様子をご覧になって、68年前の広島のこと、長崎のことを、思ってみて下さい。