梅雨が明けました。さて、水無月とは?そして五月雨とは?

 例年よりも大幅に早く(そして西日本よりも早く)、関東地方で梅雨が明けました。今日はさっそく、東京で35度を超える猛暑日に!

 ところで、旧暦の月の異名は、全部覚えておられますか?7月なら文月(ふづき、ふみづき)、6月は水無月という、味わいのある呼び方ですね。

 とりあえず、ひととおりの名称と、この場合の季節のくくりを、示しておきます。

1月-睦月(むつき) 2月-如月(きさらぎ)3月-弥生(やよい)        春
4月-卯月(うづき) 5月-皐月(さつき) 6月-水無月(みなづき)      夏 
7月-文月(ふづき) 8月-葉月(はづき)  9月-長月(ながつき) 秋 
10月-神無月(かんなづき) 11月-霜月(しもつき) 12月-師走(しわす) 冬

 高校生は、まずこの「名称」について、きちんと覚えて下さい。古文の文章を読むときには、これがわかっていることで、読解がしやすく、理解も深くなることが、ままあります(例えば『おくのほそ道』・・・弥生も末の七日=旧暦の3月27日、など)。

 また、中堅私大では、これらの知識をそのまま問う出題も、比較的多く見られます。

 さて、上記の季節の区分を見て、「おやっ」と思った方も、おられることでしょう。「7月、8月」が、秋になっています。「4月」の夏、「10月」の冬も、すんなりとは受け入れられないのではないでしょうか。

 現在の太陽暦と旧暦の太陰暦では、1月1日の時期が異なります。旧暦の1月1日は、太陽暦にあてはめると毎年変わり、1月の終わりから2月の10日過ぎくらいまで、幅があります(今年は2月10日だったとのことです)。

 つまり、ここから考えはじめて、月の名称をあてて行くと、すべてがぴったり、納得できるはずです。また、立春、立夏、立秋、立冬という「暦の上の季節のはじまり」とも、だいたい一致することになります。

 例えば、2月10日を元日として、3か月後の5月上旬(旧暦では1ヶ月が28日です)。ちょうど「立夏」のころに、「卯月」がはじまります。現代でも、この頃から「初夏」と言いますね。そして1か月後の「皐月=五月」のはじめごろから、梅雨に入ります。だから「五月雨(さみだれ)」なのです。さらに梅雨が明けると、「水無月」、水のない月に入るわけです。

 こうしたことを知らないまま、現在の「6月」が「水無月」だと思っていると、どうして梅雨の真っ盛りが、「水無月」なんだろう、と、思ってしまいますね。季節感、それをあらわす語感については、やはりふるくからのことばの方に、一日の長がありそうです。

 では最後に、「宿題」を出しておきます。次の和歌(短歌)の季節感について、考えてみて下さい。

 ・秋来ぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞおどろかれぬる  藤原敏行

 梅雨が明けて猛暑を感じはじめた初日に「秋来ぬ」でもないでしょうから、後日、適切な時期に解答、解説をさせていただきたいと思います。

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